能楽BASARA 第4回公演 月下に舞ふ

国立能楽堂
んー、堪能しました。
グーテ、グーテ(独語)
敬称略で、書き散らしです。(やたら長いです!)

解説、『融(とおる)の風景』

観世 喜正(かんぜ よしまさ? ですよね?)
本日の演目、融(とおる)の背景です。
主人公は、源融(みなもとのとおる)。
嵯峨天皇の御子ながら、兄弟の多さから、
臣籍降下して、姓を賜わる。
みなもとをただせば、皇家につながる、ということから、源の姓を。
それも、嵯峨天皇ということで、嵯峨源氏、に属する。
河原の左大臣と呼ばれ、小倉百人一首にも歌がある
陸奥の 忍ぶもぢずり 誰ゆゑに乱れそめにし 我ならなくに』
高貴な人ゆえ、都を離れてはいないはずですが、
よほど伝え聞く陸奥の風景に心奪われていたのでしょう、
六条・河原院に、塩釜の風景を再現し、塩焼を行ったとか。
、、、とまあ、背景の説明があるのですが、
ここまでは、勉強済みのことばかり。
今回は、十三段之舞の小書付き。
小書には、五番立で日暮れまでに終わらすために、
舞を短くしただけの、小書、というのもあるそうな。
この『融』には、小書がたくさんあるそうで、
しゃく、さいしき、そでのとめ、はくしき、、、(覚え切れません)
とあるそうで、今回の十三段之舞は、通常三、または、五段の、
融の大臣(おとど)の舞を、十三段と、長くしたもの、とのこと。
演者としても、やりごたえのある小書、とのこと。
、、、
ほほう。それは楽しみ。

仕舞、通小町(かよいこまち)

観世 喜之(かんぜ よしゆき)

地謡
 桑田 貴志
 鈴木 啓吾
 中森 貫太
 坂 真太郎 

主人公は、深草少将。(能で、小野小町は、ツレ)
百夜通いの様を見せる部分。
、、、
なんですが、、、
ええ、悲しみと業を見せた滋味溢れる舞は、堪能しました。
早くもややトランス気味になりました。
が、、、情景描写が上手くできませんでした、、、。
修行不足です。(初観能なので、当り前ですけど)
気づいたのですが、謡は、音なんですよね。
漢字で謡ってくれれば、わかることも多いんですけど、、、。
、、、ってそりゃ無理か。
あとですね、目付柱!
邪魔です!
案内によると、目付柱を堪能できる席がB席のようです。
もっとも、トランス状態に入ると、あんまり邪魔でもない。
舞の流れから、柱に隠れた部分がどうであるかは、
想像できなくもない。


観世 喜之氏は、観世流シテ方観世喜之家4代目当主。
観世九皐会(かんぜきゅうこうかい)主宰。


狂言、狐塚 小唄入

山本 東次郎(やまもと とうじろう)

 山本 泰太郎
 山本 則直

狐塚にある、主人の田を荒す、群鳥を追い払え、と言われた、
太郎冠者と次郎冠者。
今年、他はそうでもないが、うちは、豊作。
それも、二人のおかげ、と言われて喜ぶも、
子供にやらせれば、良いではないか、と反論。
夜だし、狐が出るから、子供では無理、と言われ納得。(早!)
(ちょっとまて、鳥は鳥目じゃあ、、、)
鳴子をもってけ、と言われて、鳴子を持って出かける。
(どうやら鳴子は重いらしい)
田につくと、豊作の情景描写をし、豊かな稲穂が見えるよう。
鳥を払い、夕暮れになり、小唄を謡い、舞う。
(ここらへんは、非常に情緒豊か。楽しい!)
、、、
パンフレットでは、ここら辺までしか書いてないので、
以降割愛しますか。
狂言は、セリフも聞き取り易く、情景描写もスムースです。
鳥を追う様、稲穂の描写、見えるようです。
ちなみに、狐ってと、人を化かして、泥まんじゅうや、
自分の小便を人に飲ませるのが、相場。
ということで、狐の出す酒は、絶対に飲んではいけないのです。
ま、ま、余談です。


山本東次郎氏は、大蔵流
山本会主宰。

休憩、15分

一旦、人がどっと引きます。
戻って来ると、、、何故か増えてます。
能派の方、狂言は時間の無駄ですか?
楽しいのに。
仕舞だって見事なのに。
もったいないの。

能、融(とおる) 十三段之舞

汐汲みの老人・融の大臣 駒瀬 直也(こませ なおや)
 旅の僧 宝生 欣哉(ほうしょう きんや)
  六条辺の男 山本 東次郎(やまもと とうじろう)

大鼓 亀井 広忠
小鼓 鵜沢 速雄
太鼓 観世 元伯
笛   一噌 幸弘

後見
 長沼 範夫
 観世 喜之
地謡
 佐久間 二郎    中森 貫太
 古川     充    観世 喜正
 鈴木   啓吾    関根 知孝
 奥川   恒治    弘田 裕一

番組を横書きってのも、無理のある話で。
ワキが河原院に行くとこからスタート。
前シテが頭のおかしくなりかけた老人、といった趣で登場。
「ご老体、汲み桶担いで、どうするの?」
「ここは塩釜、汐を汲むのにきまっとろう!」
「ここは、都じゃん」
「そう、それはあってる。六条河原院は、塩釜を再現したとこ」
「ありゃ、音羽山かい?逢坂山が近くだっけ?」
「しかり。逢坂山は見えないけどね。、、、月も登った、いざ、汐を汲まん!」
、、、すみません、私のヒアリングではこれが限界。
しかも、今思いだしながら書いてるので、間違いあるかもね。
まあ、私にはそう聞こえてたってことで、お許しを。
、、、
汲んだ後、汐曇りに紛れて、老人は消える。
消える、は、橋掛かりでしゃがむ。
この辺、老人の舞は、老人らしく、力弱めの静かめ。
ちょっとびっくりしたのが、老人と旅の僧が触れ合ったとこ。
触れるんですね。


中入、アイが登場。
そうそう、みなさん登場すると、
「私は何の某で、今何しようとしているところです」
って名乗るんですね。
そんな人、実際にはいないって。


アイは、ワキの質問(河原院の謂れ)に
「よくは知らんけど、聞いてる話だとこうだ」
と語って聞かせる。
、、、正直に言います、ごちゃごちゃしてて、
何かようわからん、状態に入りました。
というか、老人の舞にぼうっと見せられてて、
聞き取る、という意識レベルが、相当下がってました。
ごめんなさいです。


ワキの謡いの後、後シテ登場。
ってか、スーパースター登場。
わぉ、美男子登場ですね!
、、、前シテと後シテ、同一人物じゃないよ。
後シテは、動きが颯爽としているし、力強く、自信に満ちてる。
豪勢で、賑やか。
面・装束と、なにより演者さんの力ですね。
融の大臣の舞は、とても気持ちが良い。
α波でまくり。
囃子方との掛け合いが、舞を作る。
素晴しく美しい一時。
と、思ってたら、囃子がアップテンポに。
今まで、右脳に囁く、声をかける、そして時に締める、くらいの囃子が、
急に、殴る!
いや、ホントに、ガツーンと来ました。
いえ、乱暴ってわけじゃないです。
そのインパクトたるや。
音楽系の才能に乏しい私は、音楽を聞いて鳥肌が立つ、という
経験は、今までなかった。そう、今まで。
鳥肌、立ちましたよ。
今でも思い出すと、鳥肌立ちます。
また、あのアップテンポに舞がマッチして、それはもう。
とてもこの世のものとは思えないような、、、
、、、そうそう、僧の夢の中の話でしたね。
って、感じてる私は、多分、現実なんですけど、、、。


ちなみに、これで、完全に行ってしまいました。
(どこへ?、、、どこかへ)
この後、ほとんど覚えてません。
せっかくの後シテによる情景描写があったのですが、
月の見事さを謡ってたと思うんですけど、ほぼ覚えてません。
明け方になって消えちゃうんですけど、
消えちゃうまで、舞の余韻が残ってて、、、。
いや、拍手が始まるまで、ほぼ復旧不能状態でした。
うむ、もったいない。


駒瀬直也氏は、観世流シテ方
能楽BASARA主宰。
宝生欣哉氏は、下掛宝生流ワキ方


今年、最高の経験です。
能楽に出会ったこと。
嬉しい限りで。