歌舞伎、仮名手本忠臣蔵

先日、見てきました。
初・歌舞伎。


二月大歌舞伎、通し狂言仮名手本忠臣蔵
おもしろかった〜。


一日見てました。
昼の部
大 序、鶴ヶ岡社頭兜改めの場
三段目、足利館門前進物の場、同 松の間刃傷の場
四段目、扇ヶ谷塩冶判官切腹の場、同 表門城明渡しの場
浄瑠璃、道行旅路の花聟 清元連中


夜の部
五段目、山崎街道鉄砲渡しの場、同 二つ玉の湯
六段目、与市兵衛内勘平腹切の場
七段目、祇園一力茶屋の場
11段目、高家表門討入りの場、同 奥庭泉水の場、同 炭部屋本懐の場


11:00〜16:00、16:30〜21:00。(終わりは適当かも)
中でお弁当食べての贅沢三昧。
昼の部は、ちょいとうっつらしてしまいましたが、見所は押さえました。


もー、見せ場ばかりを集めての名場面ばかりですからねぇ。
非常に分かりやすく、飽きさせない構成でした。
初・歌舞伎ですし、かなり不勉強で行ったので、人が良く分かりませんが、
中村吉右衛門坂東玉三郎松本幸四郎あたりは、知ってもいて、
生の演技にほれぼれとしましたね〜。

大序

高 師直の演技が良くて。
いじわるもかわいいものです。
、、、まあ、セクハラにパワハラですけど。
桃井若狭之助(吉右衛門)と対峙する形で進みます。
塩冶判官は、ここでは抑え役。


休憩、入ります。(お昼ご飯は、幕の内弁当にしましたよ)

三段目

相変わらずの対峙が、賄賂と若狭之助(吉右衛門)のあまりの勢いで、師直が折れます。
その鬱憤からか、塩冶判官への風当たりが強くなり、、、刃傷へ。
吉右衛門さんの若々しい演技が、気持ち良いです。

四段目

んで、切腹して、城明渡しです。
大星由良之助(幸四郎)の演技に、涙を誘われます。
ってか、泣きました。はい。
乱心ってことで家名存続を図ろうとするけど、いや信念あってのこと、とする場面はないんですね。

浄瑠璃

休憩です。
華やか、かつ、コミカルな舞が見られます。
四段目で、観客が暗くなるので、明るい方に持ってくためでしょう。
この辺、能の合間の狂言みたいな役割でしょうかね。


昼の部、終了。

五段目

浄瑠璃で出てきた脱藩した勘平が、仇討ちを企てている元藩士に会って、仲間に入れて、と。
仇討ちは金がかかる、50両用意しろ、と言われる。
50両、、、1両あれば4人家族が1ヶ月くらせる時代に書かれたお話です。
50両ってと、1000万円を超える金額ではないでしょうか。
遠まわしに断っているんでしょうかね?
義父が用意してくれるに違いない、と言って別れ、自分はいのしし狩りに。
場面は変わって、義父さん。
娘を(って、奥さんですよね、勘平の)祇園に身売りして、前金50両を貰い帰る途中、、、
悪者に襲われて、絶命。
そこに、勘平がやってきて、いのししを狙った流れ弾に、悪者倒れる。
勘平、倒れている人を見つけ、自分がやってしまったか、と思いつつも、
病かもしれぬ、ということで薬を持ってないか懐を探る。
硬いものがあたったので、取り出すと切り餅(50両)。
人を殺してしまった・50両用意すれば仇討ちに仲間入り、と様々な思いに錯綜し、50両を持って逃げる。


悪者役の人の不気味な演技が印象に残ります。

六段目

奥さんを引き取りに、祇園の一文字屋のおかみが、家にやってきます。
義父さんが帰って来ないと、娘は渡せない、と義母さんががんばる。
勘平帰って来て、食い違いのあるユーモアの混じったやり取りがある。
この時、50両は既に渡し済み。
血に染まった財布はまだ持っていて、それから50両の出所を知る。
自分が義父を殺してしまったと勘違い。
奥さんを祇園にやることを承知する。
その後、義父さんの死体が運びこまれ、義母さんが察知し、責める。
仇討ち組みの人がやってきて、50両は返す、と言ってくれるが、
50両の出所を義母さんから聞いて、そんなやつは仲間に入れられんと責められる。
夢も叶わず、恋女房も祇園へ、、、せっぱつまって身の証のため、腹を切る。
そこまでして初めて、そんなやつではない、と思い直した仇討ち組みが、
義父の傷を改めると、弾傷っぽいけど突き傷と見極める。
そういえば、悪者が銃弾に倒れていた、と連想が進み、身の潔白が証明される。
仇討ちの連判に加えてもらって、昇天す。


、、、悲劇っす。
勘平の心情を滲ませた演技が光ります。
しかし、5年で100両って、すごいなぁ。
また、盗みをしたのは、事実なんですけど、、、。
情状酌量の余地があるとは言え。
ちなみに、腹切は、死んでお詫び、ではありません。
わが腹蔵に一物なし、という潔白を示す行為です。
、、、切腹に賛成というわけではありませんが、死んだらいいのか!って憤慨は当てはまりません。
義母さん役の演技もまた、いぶし銀的な素晴らしさ。
困惑、狂気、悲嘆、、、。
女房の玉三郎が美しい、、、。


あれ、晩御飯は、このタイミングだったかな?
花かご弁当(トップ画像)

七段目

祇園で遊興に耽る由良之助(吉右衛門)。
仇討ち組みがやってきて、本当に遊んでるのかい!と憤る。
力弥が来て鯉口を切り裏に下がる。
酔った演技を続けながらも、裏に回ると、顔世御前の書状。
読もうとすると、相手方に寝返った斧九太夫(ちなみに、五段目の悪者はこの人の息子)。
たこが食えるか?とけしかける。
(塩冶判官の命日なので、生ものを食ってはいけん)
涙を隠しこらえ平静(というか酔態)のまま食べる、由良之助。
斧九太夫、仇討ちの心配はない、と伝えさせるも、書状が気になると帰ったふりして床下に入る。
由良之助戻ってきて書状を見ると、遊女になった勘平の女房お軽が上から鏡を使って盗み見。
床下では、斧九太夫
お軽の簪が落ち、読まれたことに気付く由良之助。
また手紙が一部ないことにも気付き、床下の存在に気付く。
試しに懐紙を丸めて落とすと、それもなくなる。(斧九太夫が拾う)
お軽の兄・足軽・寺岡平右衛門が、元藩士勘平の女房である、と明かしたので、
由良之助が勘平の仇を討たせて、寺岡平右衛門も晴れ仇討ち組みに参入。
討入りの機を伺う、重要なシーン。
吉右衛門の演技には言うことがありません。
また、寺岡平右衛門は見せ場をしっかり押さえるおいしい役。
玉三郎の美しさは見事としか言いようが、、、。
力弥役が小さい子で、大丈夫かとハラハラするのも一興。

十一段目

討ち入って本懐です。
大団円。




時代劇ファンなので、忠臣蔵は得意です。
仮名手本忠臣蔵も一通りの筋は知っていたし、能の地謡に比べればヒアリングも楽。
歌舞伎って、そのまま楽しいですねぇ。
セットもたくさん作ってあるし、要所要所にユーモアを交えて飽きさせない。
娯楽エンターテイメントです。
、、、とはいえ、日本文化に関する知識がない人には、つらいと思うけど。
いや、途中で帰った外人さん?がいたので。


能とどっちが良い?と聞かれれば、やはり、能と答えるけど、単純に魅力的なのは確か。
中村吉右衛門松本幸四郎は、テレビでも見るけど、間違いなく歌舞伎役者だ、と思いましたよ。
歌舞伎もまた見たいなぁ。