まとめて

本の感想をば。

麦ふみクーツェ

麦ふみクーツェ (新潮文庫)

麦ふみクーツェ (新潮文庫)

著者さんのあったかな世界に浸れます。
んー、いいですねぇ。
厳しい場面や、嫌な場面がない訳ではないのに、
それらの場面にも、どことなくあたたかな感じがする。


日常の大切さを感じることができる人にオススメ。
かるーい感じがするのに、しっかり残る。
でも、重苦しいわけではない。
不思議な文章です。

夏の庭

夏の庭―The Friends (新潮文庫)

夏の庭―The Friends (新潮文庫)

んあー、シンクロ率高し。
三人の少年と老人の交流を描いているわけですが、この世界観!
三人の少年の特性は誰しも少しづつ持つもので、
場面、場面で、ここは多分この子のように反応する、
ここはこっちか?と分かれるものの、総じてどれか。
というか、同様な考えの葛藤がある。
老人は、最初殻にこもって生甲斐を失ったかのように始まるが、
三人との交流により、活き出す。


んー、先日の「知恵と知識」の記事はこの本の影響ですね。
私にとって、老人、否、ご老体とは、だんだんにいろんなことが面倒になり、
日常と変わったことはしなくなるけど、大いなる知恵の持ち主。
そりゃあ、科学技術が日進月歩で進む世の中では、
「知識」としては置いてかれるかもしれない。
しかし、面倒と言って怠惰に過ごしているかもしれないけど、
蓄積された知恵ほど貴重なものはない。
経験をバカにしてはいけない。
社会弱者と言って、「かばってやる」存在ではなく、
知恵の持ち主として、尊敬し仕える存在なのです。
知恵の持ち主は活かさないといけません。


、、、いや、この本はこんなつまんないことは書いてないです。
少年と老人の活きる物語。
少年達は、最初から活きている。そして学び、成長する。
老人は、最初生きているだけ。それが交流を通して活きるようになる。
気持ちの良いお話です。
活きることの大切さを知りたい時、かな。

ポプラの秋

ポプラの秋 (新潮文庫)

ポプラの秋 (新潮文庫)

女の子が主人公になってますが、これまた同調してしまう。
あ、ちなみに「夏の庭」、あんまり男の子っぽくないです、少年達。
いや、確かに描かれた行動は男の子なんですけど、、、
ちょっとわかりませんが、どことなく。
なので、女の子が主人公(というかこちらの場合、女性が主人公か)に
なっても、シンクロ率はあんまり変わりません。


ご老体というのは、ちょっと不気味で、気が向くとおちゃめで、
生きる知恵を豊富に持つ。
そういう存在。
そして、人間関係の微妙な関係の描き方。
この辺が好みですね。
ちょっと自分を反省したい時に読むお話かもしれません。

りかさん

りかさん (新潮文庫)

りかさん (新潮文庫)

「からくりからくさ」の続編です。
前日談「りかさん」と後日談「ミケルの庭」の二話。
amazonで、ぽちぽちやってるとついつい、、、。
amazonの策略にはまってつい買ってしまった。
まあ、いいや。大満足なので。


著者さんの持つ、ファンタジーの世界はたまりません!!!
んー、はまった、感がある。
「裏庭」「からくりからくさ」「りかさん」と三冊目ですが、
いずれも世界観にどっぷりと浸かってしまい。
ホント感服です。
時間も空間もどっか行って、完全にその世界の住人になれます。
(ということで、通勤電車ではあぶない。乗り過ごす)
まんが日本昔話」が好きな人にオススメ。
それに、私は「まんが日本昔話」の怖い話はダメだったのですが、
少なくとも今のところの三冊は、怖いところがありません。
(いや、ないわけではないですけど、、、)


「りかさん」はそのまま、「からくりからくさ」の「りかさん」が主人公。
りかさんがようこちゃんの家に来た時の話。
人形ってのは、こういうものなんですねぇ。
今まで人形には、「怖い」と「美しい」しか感じたことがなかったですが、
これからは、もう少し歩み寄ろうという気になりました。
「ミケルの庭」は、「りかさん」文庫化にあたっての書き下ろしだそうで。
後日談の短編。
心理描写の手法が私にあってるのでしょうね。
いろいろぐっとくるものがあって、これまた良いです。


この本、表紙の色遣いが巧みで優しげ。
そしてタイトルが「りかさん」。
とても女性的な印象を受ける本。
んー、そしてこれ読んで涙ぐんでる私、、、絵になりませんねぇ。
、、、不審人物という言葉がぴったり。